医療機関働き方改革 −3−

「かかりつけ医の定義」(あいまいな仕組み)

医療を受ける窓口=かかりつけ医
この定義がコロナ禍の医療ひっ迫により崩壊した
日本国内における現状の仕組みと定義について検証してみた

◎ テーマ(ポイント)は3つ

1.コロナ露呈であいまいな仕組み
2.医療費改定に対する議論
3.問われるフリーアクセス方式

1.コロナ禍で露呈した仕組み

かかりつけ医とは?(日本医師会)

「何でも相談できる最新の医療情報を熟知して専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる総合的な能力を有する医師」
国・医師会が推奨してきた「かかりつけ医」
高齢化により慢性的な病気 ⇒ 身近なかかりつけ医

かかりつけ医の有無調査
有:55.2%
無:25.7%
いれば良い:18.1%


  ⇩(ところが現実は)

ワクチン接種の際
 ・かかりつけ医でないと拒否される
 ・在宅療養の往診を断られる
 ・複数の医師にかかっており誰がかかりつけ医なのか?

  ⇩(原因)

かかりつけ医の定義があいまい
制度化されていない

2.医療費改定に対する議論

中医協(中央社会保険医療協議会)での議論
支払う側と診療側との間で意見が分かれる結果となった
(支払う側:患者)
・認識のズレがある
・かかりつけ医とは何か?悩んだのは全国民
患者目線で定義や制度の明確化を求める
(診療側)
・患者と医師の信頼関係がベース
・制度でしばることはなじまない
・患者の利便性低下による地域医療の質低下につながる
定義や制度の明確化に慎重な意見

【決定内容】

・かかりつけ医
 加算額
 初診料 +800円
但、往診の実績などを条件とする

・大病院における負担額
 初診料現在:5,000円⇒7,000円
 再診料現在:2,500円⇒3,000円
 まずは、かかりつけ医に診てもらうのが狙い

制度・定義の議論進まず

3.問われる自由診療(フリーアクセス)

日本と海外の在り方の違い

(イギリス)
地域のかかりつけ医が診療   ⇒   大病院・専門病院に診てもらう
            (必要であれば)


医療を受けるにはまず、かかりつけ医に診てもらうことが原則である
ゲートキーパー(医療の入口の意)


コロナ禍において、かかりつけ医が総力戦で軽症者対応をし、
重症者を大病院にて治療するという各々の役割を明確にしたため、
医療のひっ迫を避けることが出来た。

(日本)
フリーアクセス(登録制度なし)

診療所

患者

大病院(病院側の負担が重く、労働環境悪化)

有事・平事での医療提供体制の在り方を考える必要がある。

4.第3の医療

患者さんの想いとご家族の想いを叶える方法が・・・在宅医療である
最期の日は我が家で迎えたい、家族と一緒にいたい・・・患者さんの想い
在宅医療は医師をはじめ、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、ケアマネージャー、ホームヘルパーなど多くの方々が連携して定期的に患者さんのご自宅を訪問し、チームとなって患者さんの治療やケアを24時間体制で行ってゆく医療活動です。
訪問診療における患者さんは、疾病や傷病の為に通院が困難な方であり、医師は診療の計画を立て、患者さんやご家族と相談の上、計画に基づいて定期的に訪問し、治療や経過観察を行っている。

医療における変革がもとめられており、Newnormalのひとつが在宅医療・オンラインである。
まさに、「患者アクセスの選択肢の多様化」である。

在宅医療を通じて、医師が患者の必要最小限の情報を収集し、それを電子カルテシステムによって情報を共有し、地域ごとに医療連携を図ってゆく事ができる。
また、業務においてもICT化(RPA:ロボテック・プロセス・オートメーション)活用によって、事務作業の軽減にもつながるのではないだろうか。

現状、電子カルテの普及率は全国で50%
なぜ普及しないのか?
電子カルテの使いにくさとコストがかかることに原因がある。

日本の医療分野における電子カルテ情報の標準化システムの促進を政治的(国としての意志)にも早いペースで進めてゆくべき課題である。

投稿者プロフィール

笠原玄一郎
笠原玄一郎代表取締役
・公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会
 認定登録 医業経営コンサルタント
・BCP(事業継続政策)研究会所属
・病院組織改革研究会所属
・働き方改革改善
・増患及び集患に伴うマーケテイング分析
・診療圏、患者分析(用地診断・科目選定・用地開発)
・開業、法人化に伴うマネージメント
・施設建設に伴うマネージメント
・歯科経営(自費収入強化・訪問歯科推進・開業支援マーケテイング)