『日商15万円 月商650万円の赤字店舗「基本の徹底」によって月商900万円超え店舗に変革』

2010年12月にオープンしたコメダ珈琲店(寒川店)

近所に寒川神社参道に近い事から1月末まで驚異的な売り上げを計上していた。

2月になるとだいぶ落ち着き、売り上げも1月の半分に満たない状況

3月に入ると更に落ち着いた状況が続いた3月11日、東日本大震災に見舞われた電力不足も重なり、客足も落ち、提供できるメニューは限られ、売り上げは散々たる数字

2月以降店舗の赤字が続いており、人件費ばかりがかさむ日々、集客するためにショップカードも作り配ってみたものの効果無しの日々が続く・…

6月の休日を利用して個人的に申し込んだセミナーをいくつか受講した…何かヒントはないだろうか…と想いながら…

当時、セブン&アイ・フードシステムズ社長に就任したばかりの大久保恒夫氏の話を拝聴した。

まさに、「基本の徹底」との出会いであった

・・基本の徹底とは・・

①きちんとした挨拶をすること

②清潔な店舗にすること

③美味しい料理を提供すること

以上、3つが徹底できていれば、値引きする必要もなく、お客様は自然と増えて繁盛する。

重苦しい心が軽くなり、霧が晴れた瞬間でした

セミナー終了後、早速店舗に駆け込み店長にセミナーの内容を話したところ、快く「やってみましよう」と言ってくれた

店長が真っ先に発信した内容は「地域一番の挨拶を目指そう」でした

社員も学生時代からスポーツマンというのもあり、一番入りやすかった(受け入れやすい)のが挨拶の徹底でした

店長・社員が率先垂範することによってパート・アルバイトスタッフにも挨拶の徹底が浸透し、アンケートによる反響も早く、その答えが現場のスタッフの喜びに結びついていった。

当然、反響に伴い来客数も増えて売り上げが上がってゆくのを実感できるようになった

1歩目(挨拶の徹底)が完成した段階で店長から「基本の徹底」を全社員・スタッフに発信されたことでパート・アルバイトスタッフの意識にも変化が表れた。

基本の徹底を大義として目標を発信することでスタッフの育成にも繋がっていったのです

日々の積み重ねにより、3カ月後の9月には850万円/月まで売り上げも回復した

社員・スタッフは数値化された成果に遣り甲斐を見出し、基本の徹底を仕事の「軸」として、料理の工夫にも熱が入ったのです

例えば、サンドイッチの調理にしてもボリューミーに見せるための野菜の切り方から盛り付け方等、社員一人ひとりが、スタッフー人ひとりが任されたポジションにおいて自ら考えて提案し行動するようになりました。

翌年(2012年)には年間通して平均900万円/月の売り上げを計上するようになり、

2015年には経営目標940万円/月(平均)にまでなり、それまで稼ぎ頭であった向ヶ丘遊園店と同列になったのです

寒川店の成果もあり、2012年度から全店舗が「基本の徹底」を店舗運営の軸として、各店舗ごとに工夫を重ねるようになりました

やがて、店舗間における良い意味での競争心も芽生え、お互いの取り組みを認め合い、良い取り組みを取り入れながら切磋琢磨する光景は、社員の成長を感じ得ずにはいられませんでした

各店舗を巡回し、店長・社員・バイトスタッフ達と各々ヒアリングすると…

店舗ごとの「哲学」と、一人ひとりの仕事に向き合う「根本」と「原理」が観えてきました

因みに

「哲学」とは世界や人生などの根本原理を追求する学問であり、

「根本」とは物事の基礎や一番大事な部分を指し、

「原理」とは仕組みや法則を表す

各店舗にも「哲学」が存在する

理念や価値観といった上位概念で形成される風土や文化

それを突き刺し一気通貫する『心棒』を店長・社員・スタッフ全員が共有し、各々がプライドを持ち、緩かったり曖昧だったりすることの無い店舗風土を形成していました私が常に発信していたことは・…

「答えのない問題に直面した時、会社の利益で判断するのでなく、一人の人間として正しいと考えた(思った)判断をする」でした

たとえ、その判断が結果的に間違っていたとしても理由が明確であり、今後の成長の糧となるはずです

その責任は上司である私が矢面に立ち対応すれば良いのです

問題が起きたとき、決して社員・スタッフが正しいと考えて判断したことを否定しては駄目です。

組織における上席者が持つべきは「心のバケツ」です。

バケツの中身は「関・認・肯・賞」です

「関」一人ひとりに関心をもって接する

「認」一人ひとりの良いところを認める

「肯」一人ひとりの意見を否定せず肯定する

「賞」一人ひとりの頑張りを賞賛する(褒めてあげる)

心のバケツが無い組織は一気通貫する『心棒』が緩くなったり、曖昧になり、物事の大事なジャッジが揺らぎ

その企業が目指したい「哲学」に到達することは…ほぼ無い

「どーせ〇〇だから…」とか

「うちってしようがないんですよ」とか…「諦めの文化」だけが定着

そんな緩い哲学がまかり通った先に形成されるローカルルール…

ヒトの放漫さだったりするその類のヒトは…「かき混ぜ棒」のように一瞬で職場の雰囲気を撹拌してしまう。何もなかったかのように…涼しい顔をする

「哲学」といった定性的なモノは定着せず、「構造力学」に近い偏って歪んだエネルギーとして組織に浸透するから恐ろしいものです

結局のところ、何に軸を置くかという組織のトップの覚悟が全てだと思います

物事の基礎や一番大事な仕組みにしつかりと向きあって追及してゆく素直さと行動力とお互いを認め合うチームワークが組織の自律を促すエネルギーになるのです

仕事を通じて、若い社員から「学び・気づき」をもらいながら上席者らしく成長させてもらいました

投稿者プロフィール

笠原玄一郎
笠原玄一郎代表取締役
・公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会
 認定登録 医業経営コンサルタント
・BCP(事業継続政策)研究会所属
・病院組織改革研究会所属
・働き方改革改善
・増患及び集患に伴うマーケテイング分析
・診療圏、患者分析(用地診断・科目選定・用地開発)
・開業、法人化に伴うマネージメント
・施設建設に伴うマネージメント
・歯科経営(自費収入強化・訪問歯科推進・開業支援マーケテイング)